【さよならを教えて】考察的感想

ゲームレビュー

鬱ゲーとしてカルト的人気を誇るゲーム

さよならを教えて

友人にこのゲームをおすすめされて
ものすごく気になったこのゲーム。

「言葉、男、狂気、少女、さよなら」
というキャッチコピーを見て、
怖いもの見たさにワクワクしたのを覚えています。

キャッチコピーにパッケージに注意書きと、
どこをどう見てもやばい匂いしかしないですよねー。

2001年にされたのに、
いまだに一部では人気があり、

増補改訂して販売された設定資料&原画集は
即売り切れ状態

すごいですよね。

さよならを教えてとは?

強烈すぎるキャッチコピーと注意書き

「言葉、男、狂気、少女、さよなら」

友人におすすめされた上でこのキャッチコピーを見て
がぜん気になったのですが、

このゲームの注意書きがさらにヤバいのです。

  • 現実と虚構の区別がつかない
  • 生きているのが辛い
  • 犯罪行為をする予定がある
  • 何かにすがりたい
  • 殺人癖があるなどに当てはまる場合は購入を遠慮して欲しい

というもの。

見た瞬間いったい何だ!?
と、よくわからない衝撃を受けてしまいました。

こんな注意書きまでされるこのゲームはいったい何なのか。

どう見ても怖いもの見たさですが、
変なところで好奇心を掻き立てられられてしまいました。

さらにパッケージイラストも、
どこか不安を掻き立てられるような印象なんですよね。

あのキャッチコピーと注意書きを見てそそられたあなたは、
きっと私と同類ですよ 笑

ストーリー・世界感は?

最初はいきなりわけのわからない夢から始まります。

怪物が少女の姿をした天使を喰らう夢。

一瞬だけチラッと出てくるCGがひどく不気味で偏執的で、

不快感と共に奇妙な好奇心を覚えますね。

それがどことなく沙耶の唄」と似た雰囲気を思わせます
物語全体に漂う狂気じみた感覚が似てますねー。

ストーリーが進むうちに、

主人公のおかしな言動や登場人物たちとの会話のやり取りに
はっきりとした違和感を覚え始めます

なぜいつも夕方なのか。

覚えていない授業風景。

家族の記憶。

いつまでたっても始まらない実習授業。

そして何より、一度履いたパンツとズボンを、
次の瞬間には脱ぎ捨てて歩き出すおかしさ。

だんだん音が狂っていくチャイム音や
移動先と全く一致しない背景など

もともと歪んでいた主人公の意識が、
物語が進むにつれてさらにゆがんでいく恐ろしさがありました。

そう、この世界は
主人公「人見広介」の変質的な妄想の世界なのです。

登場してくる女の子たちも彼が言っている言動も
すべて彼の主観で書かれているのです。

いつまでたっても始まらない教育実習

いつまでたっても始まらない教育実習。

その始まりがいつも黄昏時ということを考えると、

彼の中では黄昏の時間が永遠に
ループしている状態
なんでしょう。

そしてそこから抜け出せない。
というか、抜け出す気がないのかもしれません。

そうして物語は幾度となくループを繰り返し、

終わりながらまた続いていくのです。

「さよなら」とは?

物語の終わりの方に必ず入る

「さよなら」

という言葉。

やったことある人なら良く知ってると思いますが、
とても印象的ですよねー。

彼のいう「さよなら」というのは、
妄想から抜け出すために妄想世界の住人とさよなら、
ではないのです。

さよなら」とは
人との交わりを求めながら一人を望んだ彼が

自分が抱えている他者との繋がりや苦悩を
断ち切るための儀式

なのかなーと私は思いました。

言ってしまえばただの逃避ですね。

生きている限り嫌なことや苦悩は消えません。

そもそもそこから逃げ出した彼ですから、
それは重荷となって永遠にのしかかってきます。

彼は止まった時の中で何度でも殺して自分を護る。

彼女たち=彼自身の妄想なのだから、
彼女たちを殺すことで救うというのは

翻って目を背けたいものを殺すことで
自分を救っているんじゃないでしょうか。

だから自分を護るための「さよなら」なのかな?

そう考えると最後のループの意味は、
彼の心が生み出す不安を殺しつくすまでは続きそうですね。

そして、現実から逃げた彼の不安が消えることはなく、
そのループは永遠に続いていくのかな。

救いのない物語

この話は狂人の妄想であって、
彼がどうしてパラノイアなどという精神病になっているのか
という背景はありません。

そして、妄想から抜け出してひとり立ち
という救いのエンディングもない

ただひたすら、妄人の狂気がつづられています。

全員が同じエンディングだったというのがちょっと不気味ですね…

せめてメインの「現実の生きた女の子」睦月ちゃんの
エンドだけは何か変化がほしかったところです。

キャラクター

高田 望美 cv天天

屋上から下界を望む孤高の少女。

快活で人懐こい印象だが、瞳の奥に底知れぬ闇を秘めている。
主人公は、煙草を吸いに屋上に出ては彼女と出会う。

 

攻略キャラの中では一番好きなキャラでした。
彼女が登場したときの曲がとても印象的でそっちも好きです。

屋上から外に飛び立つことを望みながら、
飛び立つことができずに死んでしまう女の子。

外の世界では生きられない彼女は、
妄想の外の世界では生きられない主人公を
象徴しているかのようです。

目黒 御幸 cv紬叶慧

図書室の司書係を勤める少女。

対人関係が苦手で、図書室に入り浸っては一人本を読み耽る毎日を送っている。
奇妙な豆知識を多く持つ。

 

人と接することが苦手で、物事を斜めに見る傾向がある少女。

まともだった頃の彼はこんな性格の人物だったんじゃないか
という感じですね。

確かミユキ「自分と似た相手が一番好きだから」
と言っていた睦月の言葉からしてそんな気がします。

上野 こより cv多田美智

頭の先から空気が漏れているような少女。

ヌケているように見えて、時にグサリと来る発言をするのが特徴。
弓道部に所属している

 

普段はぼんやりのほほーんとしてるのに毒舌で、
その言動に深く傷つけられる主人公。

空っぽの人形は自分の内面を写しているのかな?
的確に痛いところをついてくるのは彼の内面を、
欠点をよく把握しているからでしょうか?

田町 まひる cvあさり

主人公をおにーちゃんと呼び慕う幼なじみの少女。

感情の起伏が激しい性格は無邪気とも取れる。
猫のように気まぐれで子供らしさの抜けない少女。

 

彼がかつて殺してしまう原因を作ってしまった子猫。

慕われてとても大切にしていたのに壊してしまったトラウマ。

高校生という設定の割に幼すぎだろうと思ったけれど、
子猫、本来なら死んで成長が止まっていること
を踏まえるとその幼さにも納得がいきますね。

擬人化、成長した高校生の女の子として描かれていても、
彼にとっては未だに子猫なんだなーと思いました。

でも、こういう美少女ゲームには
見た目幼いキャラは普通にいるから関係ないのかも。

巣鴨 睦月 cv佐々木あかり

ヒロイン。放課後の教室に独り佇む儚げな美少女。

主人公は、睦月の少女らしい清純な清々しさに強く引かれるが、
同時に、その現実離れした聖性に怯えている。

 

この狂った世界の中でたった一人、主人公にとって特別な彼女。
最初に出てくる、怪物に襲われてるCGがとっても強烈ですね。

恐怖を抱きながらも惹かれてしまう女の子。
彼女こそが現実と妄想をつなぐ唯一の存在です。

神聖視している彼女から
自分の穢れを見られることを厭うたのと同時に、

外の世界への憧れと恐怖を感じていたのかもしれません。

クリア後にもう一度改めて彼女との会話を聞いていると、
会話がかみ合っているようでかみ合ってないのがわかります。

彼女を木に括り付けたのは彼の妄想なのかそれとも…

 

※キャラ画像は公式壁紙を抜粋しています

増補改訂された設定資料&原画集が発売!

さよならを教えて comment te dire adieu さよならを教えて 設定資料&原画集[増補改訂版] CRAFTWORK side.c

オリジナルには2002年にコミックマーケットにて頒布されたましたが、

18年時を経て

  • カラーページ
  • 新規ページ
  • 描き下ろし
  • 書き下ろし小説

を追加して大幅に再構成・増補改訂した書籍が発売されました。

お店によっては完売しているところもあり、
興味のあるあなたはお早めに入手したほうがよさそうです。

まとめの感想

お勧め度:★★★

注意書きにもあるように

救いのない話だしグロや暴力表現もあるので
人によっては受け入れられないというか、
絶対にやらないほうがいい内容です。

私は耐性があるほうなのでそこは気にならなかったのだけど。

最後、どのルートを通っても結局主人公が救われる
という結果にはならなかったり

木につるされたヒロインはどうなったのか
うやむやになったまま終わってしまうことや

主人公に何があったのかという背景が語られないので、

最後はもやもやした感じで終わってしまいます。
謎がすべてクリアされると思ってやらないほうがいいです。

 

ひと昔までは高騰していたらしいこのゲームも、
廉価版がでてお求め安くなったので、

お値段的には気軽にやれると思います。

興味を持ったあなたはぜひ、プレイしてみてください。

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